【歴史小説】世界史香る海外が舞台の小説おすすめ30選(近代・現代)

悩む人

「Google先生、近代や現代の世界が舞台の面白い歴史小説を読みたいです!」
…と聞いてみても、望む検索結果がなかなか出てこない。古代のローマ?三国志の中国?幕末の日本?いや、ちがう!
求めているのは近代・現代の世界が舞台のエンタテインメント風な小説よ。

…という方向けの記事です。

探している小説のイメージをもう少し具体化すると以下のとおり。

  • 歴史上のできごとのなかで、
  • 教科書に載るような人が活躍したり、
  • スパイ・諜報員が暗躍したりして、
  • 近現代ならではの歴史の「if」や「タラレバ」に想いを馳せ、
  • なんともいえない読後感に浸りながら、気付けば教養が身に付いている(?)

え?

「注文が多すぎる。だったらオマエがリスト作れや」ですって?

カンガルーパパ

ほっほーっ、望むところですよ笑

では、ぼくが独断と偏見でおすすめの名作をランキング化してご覧にいれましょう!

全部で30作品を取り上げます。

このランキングが、世界史x近現代の歴史小説にエンタテインメントを求めてやまない全ての人へ、役立ちますように。

世界史の受験や勉強に追われている若者への癒しになりますように^^

目次

【歴史小説】世界史香る海外が舞台の小説おすすめ30選(近代・現代)

ランキングについて
  • 順位はぼくの独断と偏見です😌
  • 舞台となった時代や地域、ぼくの紹介コメントを載せてます
  • ランキングはTOP10までは1作家1作品でして、それ以降は順位なしの作家順です
  • ランキング圏外でも、面白くて読みやすい作品の自信アリ!是非手に取ってみてください
  • 冒頭にAmazonから商品紹介欄を引用していますので、概要把握にお役立てください

1位:黄砂の篭城(松岡圭祐)

1900年頃、中国・日本

一九〇〇年春、砂塵舞う北京では外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が勢力を増していた。暴徒化して教会を焼き討ち、外国公使館区域を包囲する義和団。足並み揃わぬ列強十一ヵ国を先導したのは、新任の駐在武官・柴五郎率いる日本だった。 日本人の叡智と勇気を初めて世界が認めた、壮絶な闘いが今よみがえる。

テーマは義和団事件

いきなり世界史臭がしますよね笑

世界史の教科書に、おそらく太字で書かれているこの事件について、ほとんどの人は聞いたことあるでしょう。

でもね、意外と具体的には何も知らない。

ましてや、この本の帯にあるような「実は柴五郎という日本人が活躍した」なんて話は知る由もないです。

維新からわずか30年で「国際法を守る規範の筆頭」と、世界から賞賛された日本と日本人の姿を鮮やかに描いている。―元防衛大臣 石破茂

でも、知らないからこそ面白いんですよ!

2位:ワイルド・ソウル(垣根涼介)

1960年頃、ブラジル・日本

その地に着いた時から、地獄が始まった――。 1961年、日本政府の募集でブラジルに渡った衛藤。だが入植地は密林で、移民らは病で次々と命を落とした。絶望と貧困の長い放浪生活の末、身を立てた衛藤はかつての入植地に戻る。そこには仲間の幼い息子、ケイが一人残されていた。そして現代の東京。ケイと仲間たちは、政府の裏切りへの復讐計画を実行に移す! 歴史の闇を暴く傑作小説。

ブラジルといえば、「日系移民が多い」を想像すると思うのですが、さて問題です。

なぜ、ブラジルには日系移民が多いのでしょう?

なぜ、わざわざ日本から地球の裏側に移民しちゃったんでしょう?

…ってことを、どうして誰も教えてくれないんだろうね。

知っちゃいけないことを知ってしまったような背徳感と圧倒的スピード感に「これぞ俺の求めていたエンタテインメント!」と雄叫びをあげながら一気に読めちゃいますよ!

3位:蒼穹の昴(浅田次郎)

1900年頃、中国

汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつべストセラー大作。

1位でご紹介した義和団事件が起きたまさにその前後に、中国の新王朝では何が起きていたか。

それが非常によく分かる作品です。

内容が素晴らしいことに加えて、日本が「宦官」制度を中国から輸入しなくて本当に、本当に、本当によかった……!と思うくらい、宦官についての描写が細かすぎてビビります。

宦官(かんがん)とは、去勢を施された官吏である。去勢技術は家畜に施すものとして生まれたため、宦官は牧畜文化を持つ国にのみ存在するという説があるが、現実には牧畜文化を持たない国においても宦官は存在した。

宦官 – Wikipedia

登場人物には、伊藤博文や西太后はもちろん袁世凱や李鴻章、柴五郎まで出てくる感じで清王朝末期のオールスター感があります。

4位:プラハの春(春江一也)

1980年頃、チェコ・日本

1967年3月、プラハ。チェコスロバキアは共産主義の抑圧から脱し、経済改革と自由化への気運を高めつつあった。そのさなか、堀江亮介はビーナスのようなカテリーナ・グレーベと出会った。だが、亮介は日本国大使館員、カテリーナは東ドイツ人の反体制活動家。 東西対立の最前線の地では、禁断の愛だった―現役外交官が自らの体験をもとに描いた、国際ラブ・ロマン。

小さいころ、我が家には地球儀がありまして。

そこには「ソヴィエト連邦」が載っていて、お父さんに「もうすぐここ(ソヴィエト連邦)がなくなるんだ」なーんてことを教えてもらったような。

今でこそ、西側とか東側とか、資本主義とか共産主義とかって全く聞かなくなったけど、当時は大変な時代ですよね。。

そして、そんな時代の外交官はやりがいがあったことでしょう。

本当にこんなことが半世紀前にあったのかと思うくらい、心の臓に響く作品です。

5位:龍の契り(服部真澄)

1980年頃、香港・中国・日本

1982年、英国情報部が外交文書を撮影中に失火、ロンドンのスタジオが全焼した。そして、その騒ぎのなかで、忽然と姿を消したある1通の機密文書があった―。 2年後の1984年、中国との香港返還交渉に臨んだ英国首相サッチャーは、それまでの強硬な拒否姿勢を一変させ、なぜかほぼ無条件でその返還に合意した。世界各国は訝った。 英国が突如態度を翻した理由は、いったい何なのか? 1997年の香港返還が迫るなか、国際社会の将来を左右する機密文書を巡って、英、中、米、日の4カ国による熾烈な争奪戦が開始されていた……。

テーマはずばり香港返還

ちょいときになるのが、この本、ひょっとして絶版か何かになったのか?

正規の本の流通量が少ない気がします。

ひょっとしたら、香港返還に関して何らかまずい話が載っていたのかも?!

でも、確かに不思議でして、どうしてイギリスは香港を返還しちゃったんでしょう。

事実は知らないけど、「事実は小説よりも奇なり」だと思わされる1冊です。

6位:不毛地帯(山崎豊子)

1950年頃、ソヴィエト連邦・日本

大本営参謀・壹岐正は、終戦工作に赴いた満州でソ連軍に抑留される。酷寒のシベリアで、想像を絶する飢餓と強制労働に11年にわたって耐え抜き、ついに昭和31年、帰還を果たした。 その経歴に目を付けた近畿商事の社長大門の熱心な誘いに応え、第二の人生を商社マンとして歩むことを決意。地獄の抑留生活の傷も癒えぬまま、再び「商戦」という名の新たな戦いに身を投じる。

シベリア抑留」って言葉では聞いたことはあった。

ただ、抑留って言っても、シベリアに連れて行かれて〜くらいのことしか知らなかった。

正直、この本を読むまで「シベリア抑留」の実態をナメてました。

まさに地獄。

信じられないほどの厳しさ・理不尽さ・無慈悲さで、思わずどん引きします。

ドラマになるくらいだから内容は間違いないですよ!

登場する会社は「伊藤忠商事」がモデルと言われていますね。

7位:海賊と呼ばれた男(百田尚樹)

1950年頃、イラン・日本

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。 「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。

比較的最近の本です。

有名なのでご存知の方もいるのでは?

日本とイランは仲が良いのはなぜだろう?」という人に読んでみてほしい作品です。

また読みたくなる良い名作でして、「出光興産」がモデルと言われていますね。

8位:スギハラ・サバイバル(手嶋龍一)

1940年頃、ポーランド・リトアニア・日本

ヒトラーとスターリンの悪魔の盟約から逃れるため、ポーランドを離れ神戸に辿り着いたユダヤ人少年。彼はそこでかけがえのない友を得る。時は移り現代、英国情報部員スティーブンは、アメリカ人捜査官コリンズと共に金融市場に起きている巨大な異変を探り当てた。全ては歴史に名を刻む外交官杉原千畝から始まっていた。

第二次世界大戦中、ユダヤ人を沢山救った日本人がいた」。

そんな話を聞いたことがあるとしたら、それは杉原千畝さんのことですよ。

どうやって、どんな理由で第二次世界大戦下、ナチスドイツと同盟中の日本がユダヤ人を救ったのか。

そして、ユダヤ人は日本へのビザを発給してもらったとしても、当時どうやって国を脱出し日本まで来たのか。

母国から着の身着のまま、家族とともに駆け抜けたであろう道中に、想像を絶するほどの不幸や苦難がないわけがない。

その具体的な事象も詳細に描かれていて、胸が詰まります。

9位:流(東山彰良)

1970年頃、台湾・日本

一九七五年、台北。内戦で敗れ、台湾に渡った不死身の祖父は殺された。誰に、どんな理由で? 無軌道に過ごす十七歳の葉秋生は、自らのルーツをたどる旅に出る。台湾から日本、そしてすべての答えが待つ大陸へ。 激動の歴史に刻まれた一家の流浪と決断の軌跡をダイナミックに描く一大青春小説。選考委員満場一致、「二十年に一度の傑作」(選考委員の北方謙三氏)と言わしめた直木賞受賞作。

台湾は出張で1回行ったことがあって、本当に親日で良い国ですよね。

ただ、台湾の歴史については「蒋介石」「国民党」くらいしか知りません……って人にピッタリな小説です。

日本語の表現が秀逸で、何度も同じ文章を読んじゃうこと請け合いです😌

「1968年台湾生まれ。5歳まで台北で過ごした後、9歳の時に日本に渡る。」という著者だからこそ、描けるリアルな描写がすごいですよ。

10位:タックスヘイブン(橘玲)

1990年頃、シンガポール・日本

東南アジアでもっとも成功した金融マネージャー北川が、シンガポールのホテルで転落死した。自殺か他殺か。同時に名門スイス銀行の山之辺が失踪、1000億円が消えた。金マネーロンダリング融洗浄、ODA、原発輸出、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ……。名門銀行が絶対に知られたくない秘密、そしてすべてを操る男の存在とは? 国際金融情報小説の傑作!

マネーロンダリング(資金洗浄)について書かれた小説ですが、単なる金融系の本ではありません。

舞台のシンガポールがどんな国か

どんなことを意識することを宿命づけられた国か。

読みながらそんなことを学べます。

ノミネート:また、桜の国で(須賀しのぶ)

1940年頃、ポーランド・ブルガリア・ドイツ・日本

一九三八年十月―。外務書記生・棚倉慎はポーランドの日本大使館に着任。ナチス・ドイツが周辺国へ侵攻の姿勢を見せ、緊張が高まる中、慎はかつて日本を経由し祖国へ帰ったポーランド孤児たちが作った極東青年会と協力、戦争回避に向け奔走する。だが、戦争は勃発、幼き日のポーランド人との思い出を胸に抱く慎は、とある決意を固め…。著者渾身の大作、待望の文庫化!

昔のぼくは、ポーランドと聞いて「アウシュヴィッツ」しか思い浮かばない人でした。

でも、この本を読んだ今は違います。

ポーランドの意味=「草原の国」を謳うほど、広大な平野を持つ豊かな国。

草原の国ゆえに自然の防波堤がなかったことで、何度も欧州列強の侵攻に合い、世界地図から消えては蘇ってきた不屈の根性のある国。

そして、有名な音楽家ショパンを輩出した国。

この小説を読んで以来、ショパンの『革命のエチュード』を聴きまくっています。

ノミネート:革命前夜(須賀しのぶ)

1990年頃、ドイツ・ハンガリー・日本

バブル期の日本を離れ、東ドイツに音楽留学したピアニストの眞山。個性溢れる才能たちの中、自分の音を求めてあがく眞山は、ある時、教会で啓示のようなバッハに出会う。演奏者は美貌のオルガン奏者。彼女は国家保安省の監視対象だった…。冷戦下のドイツを舞台に青年音楽家の成長を描く歴史エンターテイメント。大藪春彦賞受賞作!

舞台は冷戦下のドイツです。

国家保安省(シュタージ)の監視の目がある東ドイツへ、純粋な気持ちで音楽留学した若者の数奇な運命を描きます。

歴史&音楽&青春の3重奏な小説ですが、いかんせん「音楽」の話なので、ピアノやヴァイオリンの話がたくさん出てきます。

「音楽はよく分からないぞ?」という人も大丈夫。

だって、ちんぷんかんぷんのぼくでも楽しめましたから。

後半になるにつれ、帯に書かれている「ーこの国の人間関係は2つしかない。密告するかしないかー」の意味がよく分かります。

ノミネート:リボルバー・リリー(長浦京)

1920年頃、日本

小曽根百合――実業家・水野寛蔵の下、幣原機関で訓練を受け、16歳で実地任務に投入。東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与し、各国大使館から「最も排除すべき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。20歳で消息を絶った彼女だが、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太との出会いによって、再び戦場へ。百合と慎太を追うのは陸軍の精鋭部隊。関東大震災後の帝都を生き抜く先に、終息の地は待っているのか。

近現代の日本の歴史小説って、日清日露戦争と第二次世界大戦を題材にしたものが多い気がしませんか?

でも、実は、その間にも関東大震災や治安維持法などがあったわけで。

そのときの時代描写を小説で学びたい人にはこちらです。

本のタイトルからして、スパイや諜報員の匂いがプンプンしますよね。

ノミネート:海の翼(秋月達郎)

1980年頃、トルコ・日本

イラン・イラク戦争開始から5年後の1985年3月17日、イラク軍は突如、3月19日以降にイラン領空を飛ぶ航空機の無差別攻撃を宣言。自国機の乗り入れのなかった日本は、イラン国内に取り残された在留日本人の救出対策に苦慮する。タイムリミットが迫るなか、日本人の苦境を知って、救援に動いた国があった……。このトルコ政府の英断の裏には、明治23年9月、日本訪問から帰国中に紀州沖で台風にまきこまれたトルコ軍艦エルトゥールル号遭難の悲劇があった―。百年の時空を超えた“恩返し”を描いた感動の書き下ろし長篇大作!

日本とトルコって仲良いんでしょ?

その話を聞いたことはあっても、「でも、どうして日本とトルコは仲がいいんだっけ?」と聞かれたら「はにゃ?」となる人もいるはず。

歴史的には明確に背景がありまして、「エルトゥールル号遭難事件」がそれですね。

フセイン大統領からムスタファ・ケマル、真田真之に福沢諭吉まで登場するので、近現代好きにはたまりません。

話の結論が分かっていても、涙が溢れる内容です。

ノミネート:総督と呼ばれた男(佐々木譲)

1930年頃、シンガポール・マレーシア

マレーの鉱山から身をおこし、シンガポールの暗黒街で「総督」と呼ばれ恐れられた日本人がいた! 日中戦争から終戦まで、戦争の嵐に翻弄された男の流転をつづった大河冒険小説。

『海賊と呼ばれた男』は知っていても、『総督と呼ばれた男』は知らないでしょう?

舞台はシンガポールとマレーシア。

「大正時代から昭和時代初期の戦争に突入する前に、もし、シンガポールにいたとしたら……?」

当時イギリス領のシンガポールに、戦争と日本軍の足音が聞こえてくるリアルさがたまりません。

ノミネート:ベルリンの秋(春江一也)

1980年頃、ドイツ・ソヴィエト連邦・日本

「プラハの春」から半年後。 外交官・堀江亮介は、初恋の人「リョウ」への想いから失語症になったシルビアと再会。言葉を取り戻した少女を「もう逢えない」と突き放す。帰国後結婚した亮介だが、五年後シルビアの住むDDRへ赴任することに―。一方、ソ連崩壊を予測する秘密報告をめぐり東西両陣営では様々な憶測が飛び交っていた。 東独を舞台にした国際政治サスペンス、哀切なラブロマンス。

当記事で取り上げた「プラハの春」の続編です。

読み終えた深夜に、1人涙を流した記憶があります……

多少の誇張はあったとしても、こんな世界がたった四半世紀前にあったなんて信じられないですよね。

ノミネート:ウィーンの冬(春江一也)

1990年頃、オーストリア・日本

青年外交官として華々しく活動したこともあった堀江亮介だが、年を経て在外勤務から帰国。待っていたのは社団法人への出向辞令だった。外務省からリストラされ、屈託した日々を過ごす亮介に、突如ウィーンへの出張という話が舞い込む。 東西冷戦が終焉したばかりの「魔都」ウィーンには、いまや国際的な陰謀が渦巻いている。突然の展開をいぶかる亮介がさぐる「出張」の目的とは何か。

「プラハの春」「ベルリンの秋」のさらなる続編で、シリーズ的に読み進めることが出来ますよ。

次の舞台はオーストリア。

何よりも、ウィーンを舞台にした小説ってあまりありません。

ぼくはたまたま卒業旅行で1回行ったことがあるんですが、「そういう国だったんだ…」という発見が多かった。

ノミネート:上海クライシス(春江一也)

1990年頃、中国・日本

新彊ウィグル自治区のウルムチで、中国からの分離独立を求めるイスラム系過激派による自爆テロが起きた。主犯格の少年は、かろうじてカラコルム山脈を越境して逃亡を計る。少年の妹も、ある密命を帯びて故郷を離れ、遠い上海へ身を潜める。それは、来るべき中国内乱への序章に過ぎなかった―。 上海で実際に起きた事件を下敷きにした話題作を、大幅改稿して贈るスペクタクル・ロマン。

新疆ウイグル自治区」と聞くと、血なまぐさい事件を思い浮かべる人もいるでしょう。

実際に現地で何が起きてるのかは詳しく知らない方は、小説で(不謹慎ですが)疑似体験として、エンタテインメントとして本書を読むのは有益だと思います。

まずは断片的でもいい、世界で何が起きているかを知りましょう。

話はそれからです。

ノミネート:D機関情報(西村京太郎)

1940年頃、スイス・ドイツ

第二次大戦末期、密命を帯びてヨーロッパへ向かった海軍中佐関谷は、上陸したドイツで、親友の駐在武官矢部の死を知らされる。さらにスイスでは、誤爆により大事なトランクを紛失。各国の情報機関が暗躍する中立国スイスで、トランクの行方と矢部の死の真相を追う関谷。鍵を握るのは「D」。傑作スパイ小説!

「永世中立国」スイスに関する小説はあるのかしら、と調べて見つけたのが本作です。

第二次世界大戦当時に中立国に渡ることがどれほど大変だったか。

中立国であるがゆえに各国の情報機関が暗躍し、誰が味方で誰が敵か。

スパイってかっこいい印象もありますけど、決して当事者にはなりたくないなと思わされました。

ノミネート:69(村上龍)

1960年頃、日本

悩みが吹っ飛ぶ面白さ! 1969年、佐世保で大暴れした高校生たちの永遠の物語。 この『69』を読んだ人は、まず嘘つきの大人たちにだまされないようにしてほしい。そして若者の特権は「時間という資源」だけだと肝に銘じて、成熟社会をサバイバルしてもらいたい。――村上龍

1969年にルーツのある、遊んだようなタイトルを付けて読者を驚かせて、ほくそ笑む村上龍(笑)

…を尻目に、世界的な学生運動絶頂期に日本の若者はどうだったかを知れる良書です。

楽しく読めますよ。

ノミネート:1984年(ジョージ・オーウェル)

1980年頃、ソヴィエト連邦

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。 ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。

今でも思い出します。

この小説のクライマックスなのかな、読んでいて急に頭が「えっ?」てなる部分。

そのときの、頭に鳥肌が立つというのか、脳みそをえぐられるような……。

そんな衝撃だけは未だに残ってます。

最近だと、来る政府による監視社会(?)を予言した小説として紹介されることも多いですよね。

ノミネート:ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン)

2000年頃、フランス・イギリス・イタリア

ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描〈ウィトルウィウス的人体図〉を模した形で横たわっていた。殺害当夜、館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号を残していることに気付く……。

ぼくは大学生のときに卒業旅行でイタリアに行きました。

その時はまだこの本は発売されていなかったんですよ。

当時は美術に興味なかったですし、お金もなかったので、入館すらしなかったフィレンツェのウフィツィ美術館

この小説を読んでいたら、きっと楽しめたんだろうなと思います。

行きたかったなぁ……

ノミネート:大地の子(山崎豊子)

1970年頃、中国・日本

日本人残留孤児で、中国人の教師に養われて成長した青年のたどる苦難の旅路を、文化大革命下の中国を舞台に描く大河小説。 満州に開拓団としてやってきた松本家の幼い長男・良雄。だが敗戦直後に侵攻してきたソ連軍により祖父と母を殺され、妹とは生き別れになる。日本人としての記憶をなくし、放浪し、虐待をうけ、逃亡する少年を救ったのは教師・陸徳志だった。その養子となり陸一心と名乗る。しかし、日本人であるがゆえに、文化大革命の嵐の中、リンチを受け、冤罪をかけられ、内蒙古の労働改造所に送られて、スパイの罪状で十五年の刑を宣告された。使役の日々の中で一心が思い起こすのは、養父の温情と、重病の自分を助けた看護婦・江月梅のことだった。

当記事で紹介した、台湾が舞台の作品『流』と同時代の1970年ごろの中国はこんな感じだった、という比較で読むと面白いです。

全4巻、読み終わった後のなんともいえない読後感が今でも思い出されますね。

実際に今、改めてこの紹介文を読んでも胸がギューっ、てなるもんなぁ。

ノミネート:二つの祖国(山崎豊子)

1950年頃、米国・日本

アメリカに生まれ、アメリカ人として育てられた日系二世たち。しかし日米開戦は彼らに、残酷極まりない問いを突きつけた。アメリカ人として生きるべきか、それとも日本人として生きるべきなのか――。 ロサンゼルスの邦字新聞「加州新報」の記者天羽賢治とその家族の運命を通して、戦争の嵐によって身を二つに裂かれながらも、真の祖国を探し求めた日系米人の悲劇を描く大河巨編!

これまた胸がキューっと締め付けられる、だけど、どんどん読みたくなる小説です。

「戦争って究極のコンテンツの1つだよね。」

確か、そんなことをネット界の有名なブロガーのちきりんさんが言ってたんだけど、まさにそう。

「事実は小説よりも奇なり」のエピソードがコレでもかコレでもか、って生み出されてます。

ノミネート:生きている理由(松岡圭祐)

1930年頃、中国・日本

滅び行く清の王女は国を去り、日本で川島芳子として育てられた。後に日本の大陸進出を邁進する闘士として、東洋のジャンヌ・ダルクと持て囃された彼女が、なぜ十代で女を捨てて男になると宣言し、「男装の麗人」に変貌したのか? 国家を巡る思惑の狭間で生きる少女の数奇な恋と運命。激動の青春篇!

この本を読むまで、ぼくは知らなかったのが主人公の「川島芳子」。

東洋のジャンヌ・ダルクだそうですよ。

とにもかくにも『生きている理由』というタイトルをぶつけてくるあたり、読めばなるほどって膝を打つはず!

そして、この本は続編を読みたくなる。

「激動の青春篇」との触れ込みだから次があると思ったら、無さそう……それは悲しい。。

ノミネート:ヒトラーの試写室(松岡圭祐)

1940年頃、ドイツ・日本

1937年、22歳の柴田彰は円谷英二の下で日独合作映画『新しき土』の特殊撮影を担当し見事に完成させた。その技術に目をつけたのがナチス宣伝大臣ゲッベルス。映画による人心の掌握と統制を進める彼は、柴田をベルリンに招聘し、タイタニック号の沈没シーン制作を命じる。環境の違いから撮影は苦戦。妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に…。 意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。

まさかウルトラマンで有名な円谷英二の人生に、ナチスやヒトラーが影を落としていたなんて。

ナチスが国内世論を巧妙に誘導するために、プロパガンダを行ったことをご存知の方は多いでしょう。

そのために扱ったタイタニック沈没や戦争などの悲劇を、臨場感持って伝えるために磨かれたのが、特殊撮影技術であり。

それが花開いたのが、ウルトラマンという舞台です。

こんなことをウルトラマンファンが聞いたらどんな反応をするんだろう?

それにしても、この時代の人たちはみんな本当に命削って仕事してますよね。

ノミネート:八月十五日に吹く風(松岡圭祐)

1940年頃、米国・日本

多忙の外務省担当官に上司から渡された太平洋戦争時のアメリカの公文書。そこには、命を軽視し玉砕に向かうという野蛮な日本人観を変え、戦後の占領政策を変える鍵となった報告の存在が示されていた。1943年、北の最果て・キスカ島に残された軍人五千人の救出劇を知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵と、日本人の英知を身で知った米軍諜報員。 不可能と思われた大規模撤退作戦を圧倒的筆致で描く。

題名からは「なんとなぁ〜くこんな話なんだろ?」と想像つきそうですよね?

だけど、おそらくそれは裏切られる形でストーリーは続きます。

時は第二次世界大戦、舞台は日付変更線よりも先にある島、「キスカ島」です。

テーマはキスカ島撤退作戦であり、のちに「奇跡の作戦」と呼ばれるもの。

Wikipediaに載るくらい一大作戦でして、非常に面白いです。

『八月十五日〜』というタイトルは重たいけれど、命の尊さを感じられる小説です。

一度読んだら最後、毎年8月15日くらいにこの小説の存在を思い出しちゃいますよ。

しかし、戦時中の日本は信じられないくらい遠いところまで戦地として繰り出していたんですね。

日付変更線て……

ノミネート:シャーロック・ホームズ対伊藤博文(松岡圭祐)

1880年頃、イギリス・日本

シャーロック・ホームズが現実の歴史に溶けこんだ。いかに彼は目撃者のいないライヘンバッハの滝の死闘で、モリアーティ教授への正当防衛を立証し、社会復帰しえたのか。日本で実際に起きた大津事件の謎に挑み、伊藤博文と逢着する。聖典のあらゆる矛盾が解消され論証される、20世紀以来最高のホームズ物語。

ぼくはシャーロックホームズの本はほとんど読んだことがないですが、タイトルからして興味を掻き立てられます。

舞台は大津事件

ご安心ください。

シャーロックホームズも、大津事件も、どちらも知らないぼくも楽しく読めましたから!

アメリカでも英訳出版され重版されるほど、海外からの評価も高い作品

NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「(著者の松岡圭祐氏を)世界に誇るべき才能」と評したと話題になりました。

ノミネート:グアムの探偵(松岡圭祐)

2010年頃、米国(グアム)

アメリカの準州グアムでは探偵の権限は日本よりも遙かに大きい。政府公認の私立調査官で刑事事件に関与でき拳銃も携帯が可能。そんなグアムの日系人3世代探偵、ゲンゾー、デニス、レイの下には、リゾート地であると同時に基地の島という特殊な環境が生む不可解な事件が次々と舞い込む。日本人観光客の誘拐・監禁、重要人物の立て籠もり…。 スリリングかつ知的な謎解きに満ちた全5話収録の傑作ミステリ短編集誕生!

リゾート地としてハワイと並び立つ雄、グアム。

実は僕はいったことないのですが、華やかなイメージがあります。

ところが、実はそれはグアムのほんの一面しか捉えていないことに気付かされます。

ちなみに・・・僕はこれを読んで家族とグアムには行きたくないと思いました笑

だって、想像以上に怖そうなんだもん笑

小説は大人気でして、あっという間にシリーズ化、3冊発売されてますよ!

ノミネート:落日燃ゆ(城山三郎)

1940年頃、日本

東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。 毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

総理大臣の名前を覚えたことがある人なら「広田弘毅」の名前を聞いたことはあるでしょう。

A級戦犯のなかで、ただ1人の文官。

以前に読んだけど、悲しい記憶しかありません。

ノミネート:異邦の子(西川司)

1980年頃、イラク・日本

放送作家の立花遼一が電車を降りた直後、車両が爆発した。さらに数日後、都内で起きた爆発事件の被害者は、遼一が34年前に中東イラクで出会った日本人と同姓同名だった。もしや、電車で命を狙われたのは俺なのでは?1980年、摂氏50度の国での凄絶な地獄体験が脳裡に蘇り―著者の実体験を基に描く、衝撃と慟哭のリアルサスペンス。

よくニュースで見聞きする「イラク」という国。

でも、ニュースからでは、その地が最高50度を超える灼熱の大地だということは伝わってきません。

でも、この本は違う。

「ひょんなことから日雇いのアルバイトでイラクに行き、そこでイラン・イラク戦争に巻き込まれた」という数奇な経験をした筆者渾身の小説だからこそ伝えられる、リアリティがそこにはあります。

番外編:アドルフに告ぐ(手塚治虫)

1940年頃、ドイツ・日本・イスラエル・パレスチナ

1936年8月、ベルリン・オリンピックが開催されているさなか、ベルリン大学近くで、1人の日本人留学生が何者かに殺された。アドルフ・ヒットラーの出生にまつわるある秘密を握ったからであった——。 ナチスの興亡と日本の戦時下の時代を背景に、3人のアドルフの運命を国際的なスケールで描いた著者晩年の大作登場!

番外編として、小説ではないマンガのご紹介。

著者はかの有名な手塚治虫。

題名からお察しの通り、ナチス時代のドイツを起点にしながらも、日本・イスラエル・パレスチナとスケール大きくストーリー展開する手腕はまさに一読の価値ありでして、もはや漫画じゃない……

漫画芸術の最高傑作』とも称される、超一級品です。

【歴史小説】世界史香る海外が舞台の小説おすすめ30選(近代・現代)|まとめ

というわけで、ランキング付け・・・力尽きました笑

改めて取り上げた全30作品の一覧は以下のとおりです。

  • 1位:黄砂の篭城(松岡圭祐)
  • 2位:ワイルド・ソウル(垣根涼介)
  • 3位:蒼穹の昴(浅田次郎)
  • 4位:プラハの春(春江一也)
  • 5位:龍の契り(服部真澄)
  • 6位:不毛地帯(山崎豊子)
  • 7位:海賊と呼ばれた男(百田尚樹)
  • 8位:スギハラ・サバイバル(手嶋龍一)
  • 9位:流(東山彰良)
  • 10位:タックスヘイブン(橘玲)
  • ノミネート:また、桜の国で(須賀しのぶ)
  • ノミネート:革命前夜(須賀しのぶ)
  • ノミネート:リボルバー・リリー(長浦京)
  • ノミネート:ベルリンの秋(春江一也)
  • ノミネート:ウィーンの冬(春江一也)
  • ノミネート:上海クライシス(春江一也)
  • ノミネート:総督と呼ばれた男(佐々木譲)
  • ノミネート:D機関情報(西村京太郎)
  • ノミネート:69(村上龍)
  • ノミネート:1984年(ジョージ・オーウェル)
  • ノミネート:ダ・ヴィンチ・コード(ダン・ブラウン)
  • ノミネート:大地の子(山崎豊子)
  • ノミネート:二つの祖国(山崎豊子)
  • ノミネート:生きている理由(松岡圭祐)
  • ノミネート:ヒトラーの試写室(松岡圭祐)
  • ノミネート:八月十五日に吹く風(松岡圭祐)
  • ノミネート:シャーロック・ホームズ対伊藤博文(松岡圭祐)
  • ノミネート:グアムの探偵(松岡圭祐)
  • ノミネート:落日燃ゆ(城山三郎)
  • ノミネート:異邦の子(西川司)
  • 番外編:アドルフに告ぐ(手塚治虫)

上記で満足できないという人は、NHKの映像コンテンツ『映像の世紀』を観ることをオススメします。

カンガルーパパ

妻に『映像の世紀』を見せたところ、「この番組ってすごい…」と衝撃を受けていました笑

今回は以上です。

ほんだらのー!

ご参考

本記事で多々登場する小説家、松岡圭祐さん。

歴史小説以外にも推理系・ハードボイルド系を手がけてらっしゃいます。

どれも一級品で、最近は『高校事変』が数ヶ月に1冊ペースで発売されていますよ💡

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